ドラマが好きな話

 まだ継続中ではありますが、春のTVerドラマ祭り、いやもうすごすぎて毎日「ちょっと待って?!」の連続でした。

 何度も繰り返し見ているドラマをもう一度見れる喜びというのは、初回放送の時に心を奪われて震えたあの瞬間をもう一度味わえることへの嬉しさと近しいかもしれません。ありがとうTVer。サンキューTVer!!!!

 以下、TVerで改めて見たドラマに関してひとりごと。

(※内容についてネタバレもあるかもしれないのでご注意ください)

 

 『コントが始まる』

 何気なく見始めて、回を重ねるごとにのめり込み、一人一人がその瞬間を生きているリアルさに唸りました。うまくいかないことも当然あって、ちょっとうまくいったとしてもそれはその先にはつながらなかったりする。日常的な絶望と希望が当たり前のように繰り返されていくのが描写されるのは喉元が締め付けられて痛くて、でも見たくなっちゃうんですよね。

 ドラマなのにドラマチックじゃないドラマで、地に足をつけた人生を送りながらそれぞれの人生があるんだな、ってしんみりともじんわりとも違う。もっとリアルな感情な響きがありました。演じている皆さんがまるで本当にその人物を生きていて、呼吸すら聞こえてくるかのようで好きです。人は簡単に泣かないけど、泣く時はこんなにも簡単に泣くんだな、と見ながら一緒にダバダバ泣きました。

 個人的にマクベスのコントをいつも面白いなと思っていたので里穂子側(?)の人間かもしれません。

 

 『救命病棟24時(第3シリーズ)』

 医療ドラマの中で最も好きだといっても過言ではありません。なかなか具体的に言葉にはできませんが、絶望の中に希望があって、希望があっても次の瞬間には絶望が潜んでいる。苦しくて目を背けたくなる現実をドラマとして描きながら、それでも前を向くことを説明くさくなく、出演されているみなさんが訴えかけてくれる姿や言葉が好きです。

 一個人の意見ですが、心を揺さぶる脚本や演出を一心に受けた役者の方々の演技はどこまでも熱が込められていて本気だな、と分かる瞬間がとてつもなく感動します。

 

『Nのために』

 わたしはMIU404が好きでハマってこのアカウントを始めましたが、人がどのスイッチを押して、押さなかったか。そのスイッチをなぜ押したのか、押さなかったかのか。その全ての機微を、心情を描いて映像として目の当たりにした初めてのドラマでした。

 映画『告白』から湊かなえさんの作品は好きですが、ことNのためには最初から最後までドラマとして成立しているところがすごく好きです。

 ドラマは小説や映画と異なり、あくまでも大衆に向けた映像作品であって、原作を知らなくてもきちんと理解できるものにすべきだと思います。原作ファンだけが楽しんでも意味がないし、かといって原作ファンを無視して設定だけを拝借してドラマを作るのも意味がない。

 そう言った意味で、Nのためにはすごく好きです。見ていると苦しくなる作品ではありますが、誰が誰のために。思い続けた背景とか、切り捨てたはずの心情とか。矛盾と葛藤が一瞬一瞬に詰め込まれていて、何度見ても息を飲みます。

 

『カルテット』

 一番好きなドラマです。人間ってややこしくて面倒くさくて、難しくて分からないながらも、分からなくていいから一緒にいる大人たちの姿が最高に好きです。放送当時から言語化できなくてもどかしい思いを抱えていましたが、改めて見て、ああ、やっぱりこの人たちは全員もどかしくて面倒くさい人たちで、だからこそ好きなんだなと思いました。

 ドラマの本編に触れるとネタバレになってしまうのでできませんが、どうしてもやっぱりみぞみぞします。不器用で、生きることもへたかもしれない四人の大人たちがそれでも自分を持って生きていく姿や言葉は何よりも尊いです。

 音楽に限らないと思いますが、自分の思想はうまいこと全員に届かない。それが当たり前であって、だからこそ押しつけようとすることはおこがましいんだろうなって思ってしまう。自分の思いを届けるために決意や勇気がある。

 届いて欲しい人に届かないこともあるかもしれないけど、届く人には届くし、届いた瞬間、本人が知らないところで誰かの人生を変える力があるんだなと思います。

 このドラマを見て、届いて欲しい思いが届いた瞬間に立ち会えたな、ってたくさん泣きました。

 

 

 活き活きと演じる役者のみなさんの演技ももちろんのこと、一生心に残る台詞を生み出す方がいて、演出する方がいて、制作する方がいる。すごい(語彙力)

 

 大袈裟かもしれないけど、やっぱりわたしにとっては大きな生きる糧です。

 この春からもまたドラマが始まるのが楽しみで仕方がない。